Treatment with Hydrogen-Rich Saline Delays Disease Progression in a Mouse Model of Amyotrophic Lateral Sclerosis. | 高濃度水素水は筋萎縮性側索硬化症モデルマウスの 病気進行を遅らせる
Neurochem Res. 2015 Nov 4. [Epub ahead of print]
Treatment with Hydrogen-Rich Saline Delays Disease Progression in a Mouse Model of Amyotrophic Lateral Sclerosis.
Department of Hyperbaric Oxygen, PLA Navy General Hospital
Abstract
Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) is the most frequent adult-onset motor neuron disease, and accumulating evidence indicates that oxidative mechanisms contribute to ALS pathology, but classical antioxidants have not performed well in clinical trials. The aim of this work was to investigate the effect of treatment with hydrogen molecule on the development of disease in mutant SOD1 G93A transgenic mouse model of ALS. Treatment of mutant SOD1 G93A mice with hydrogen-rich saline (HRS, i.p.) significantly delayed disease onset and prolonged survival, and attenuated loss of motor neurons and suppressed microglial and glial activation. Treatment of mutant SOD1 G93A mice with HRS inhibited the release of mitochondrial apoptogenic factors and the subsequent activation of downstream caspase-3. Furthermore, treatment of mutant SOD1 G93A mice with HRS reduced levels of protein carbonyl and 3-nitrotyrosine, and suppressed formation of reactive oxygen species (ROS), peroxynitrite, and malondialdehyde. Treatment of mutant SOD1 G93A mice with HRS preserved mitochondrial function, marked by restored activities of Complex I and IV, reduced mitochondrial ROS formation and enhanced mitochondrial adenosine triphosphate synthesis. In conclusion, hydrogen molecule may be neuroprotective against ALS, possibly through abating oxidative and nitrosative stress and preserving mitochondrial function.
Neurochem Res. 2015 Nov 4. [Epub ahead of print]
高濃度水素水は筋萎縮性側索硬化症モデルマウスの
病気進行を遅らせる
PLA海軍総合病院
<要旨>
筋委縮性側索硬化症(ALS)は、大人になってから発症する運動ニューロン疾患の中で最も一般的なものであり、今までの研究成果からALSの発症には酸化メカニズムが関与していることが分かっています。
しかしながら、古典的な抗酸化物質を用いた今までの臨床試験では、良い成績を残せたものはありません。そこで本研究では、ALSモデルであるSOD1 G93A変異トランスジェニックマウスの病気の進行に対して、水素分子が効くかどうかを調べました。
その結果、高濃度水素水を腹腔内投与したALSモデルマウスは有意に病気の発症時期が遅延し、生存期間が延長しました。さらに運動ニューロンの活性化を抑え、ミクログリアの活性化を抑制しました。
また、高濃度水素水を投与したALSモデルマウスでは、ミトコンドリアのアポトーシス因子の放出とカスパーゼ-3の下流のシグナル経路の活性化が抑えられました。また同時にカルボニルたんぱくと3-ニトロチロシン値が減少し、活性酸素種やペルオキシナイトレイト、マロンジアルデヒドの産生が抑えられました。
そして水素を投与すると、低下していたミトコンドリア電子伝達系酵素複合体(コンプレックスⅠ・Ⅳ)の活性化の回復が確認され、ミトコンドリアの機能が維持されていることがわかりました。さらにミトコンドリア内の活性酸素種の産生量が減少し、アデノシン三リン酸の合成が促進されました。
以上の結果から、水素分子はALSに対して神経保護的に働き、その作用は酸化ストレスあるいはニトロソ化ストレスを弱め、ミトコンドリア機能を維持することで発揮されるのではないかと考えられます。
<一言>
車椅子の物理学者、ホーキンス博士が抱える病気として有名な「ALS」に対して水素に効果があるかどうかを調べたものです。ALSの発症・進行には酸化が関わっていますが、抗酸化物質を投与しても治らないというのが今までの知見だったようですが、水素だとあくまでも動物実験の段階ですが、良かったんじゃないの?という結果になっています。難病の一つに指定されているALSですので、水素に限らずいい治療法が一日でも早く見つかることを祈っています。
また、水素のメカニズムとしてミトコンドリアの劣化(?)を防ぐということなので、ほかのミトコンドリア病にも応用が効くかもしれませんね。