Oral ‘hydrogen water’ induces neuroprotective ghrelin secretion in mice. | マウスが水素水を経口摂取すると 神経保護物質、グレリンの分泌が促進される(パーキンソン病)

Sci Rep. 2013 Nov 20;3:3273. doi: 10.1038/srep03273.

Oral ‘hydrogen water’ induces neuroprotective ghrelin secretion in mice.

Matsumoto A, Yamafuji M, Tachibana T, Nakabeppu Y, Noda M, Nakaya H.

Abstract

The therapeutic potential of molecular hydrogen (H₂) is emerging in a number of human diseases and in their animal models, including in particular Parkinson’s disease (PD). H₂ supplementation of drinking water has been shown to exert disease-modifying effects in PD patients and neuroprotective effects in experimental PD model mice. However, H₂ supplementation does not result in detectable changes in striatal H₂ levels, indicating an indirect effect. Here we show that H₂ supplementation increases gastric expression of mRNA encoding ghrelin, a growth hormone secretagogue, and ghrelin secretion, which are antagonized by the β1-adrenoceptor blocker, atenolol. Strikingly, the neuroprotective effect of H₂ water was abolished by either administration of the ghrelin receptor-antagonist, D-Lys(3) GHRP-6, or atenolol. Thus, the neuroprotective effect of H₂ in PD is mediated by enhanced production of ghrelin. Our findings point to potential, novel strategies for ameliorating pathophysiology in which a protective effect of H₂ supplementation has been demonstrated.


 

Sci Rep. 2013 Nov 20;3:3273. doi: 10.1038/srep03273.

マウスが水素水を経口摂取すると
神経保護物質、グレリンの分泌が促進される(パーキンソン病)

九州大学 薬学部

要旨

水素分子はパーキンソン病をはじめとするさまざまな病気やその動物モデルにおいて、治療の手段となる可能性が報告されています。水素水を摂取することによって、パーキンソン病患者では病状が改善したり、パーキンソン病モデルマウスでは神経保護作用が現れたりすることが明らかにされました。

しかしながら、水素の摂取によりパーキンソン病の病変部位である黒質線条体の水素濃度が変化することがないことから、水素のパーキンソン病に対する効果は間接的なものであることが示唆されています。

今回、私たちは水素水の摂取が胃グレリン(成長ホルモン分泌促進ペプチド)のmRNAの発現量を増やし、グレリン分泌を促進させることを明らかにしました(ちなみにグレリンは、β1アドレナリン受容体遮断薬であるアテノロールと拮抗関係にあります)。

そして、水素の神経保護効果は、グレリン受容体アンタゴニストであるD-Lys(3) GHRP-6やアテノロールを投与された場合、著しく弱まります。このことから、パーキンソン病における水素の神経保護作用はグレリン産生促進によって、もたらされていることがわかります。

私たちはここで、パーキンソン病の病態に改善をもたらす水素水の神経保護作用に関して、グレリン産生促進という新しいメカニズムの可能性を示唆する研究成果を報告しています。


一言

パーキンソン病に対する水素水の効果を報告するものは多々ありますが、この論文は、水素水を飲んでもパーキンソン病の病変部位の水素濃度が上昇しないのに、どうして水素水がパーキンソン病にいいのだろう?ということを調べたものです。これによると、水素水が消化管ホルモンである「グレリン」を増やすことによって、神経保護効果が発揮されるらしいです。それでパーキンソン病に効果が出るのだとか。

さらっとグレリンの分泌が促進されて…みたいに書いてありますが、グレリンの分泌はパーキンソン病だけに関わることではありません。消化を促進したり、はたまた心機能改善をもたらしたり、成長ホルモン分泌作用によるさまざまないいことがあったりと…何気にすごい。これからの研究成果が待たれます。