Hydrogen-rich saline resuscitation alleviates inflammation induced by severe burn with delayed resuscitation. | 水素生理食塩水を用いてゆっくりと輸液を行うと 重度のやけどによる炎症を抑える
Burns. 2014 Oct 25. pii: S0305-4179(14)00240-X.
Hydrogen-rich saline resuscitation alleviates inflammation induced by severe burn with delayed resuscitation.
Department of Burn and Plastic Surgery, Chengdu Military General Hospital
Abstract
Severe burns with delayed resuscitation are associated with high morbidity which is attributed to ischemia-reperfusion injury. This study was undertaken to investigate the effect of hydrogen-rich saline known as a significant selective antioxidant on the inflammatory reaction induced by severe burns with delayed resuscitation. By establishing the model of severe burns with delayed resuscitation in rats, we recorded improvement on the mortality, secretion of cytokines and reaction of oxidative stress of rats treated with hydrogen-rich saline. We found that resuscitation by hydrogen-rich saline alleviated inflammation significantly. We further detected the change of the key nuclear factor NF-κB contributed to inflammation. The expression of both NF-κB and phosphorylated NF-κB in rats having severe burns with delayed resuscitation by hydrogen-rich saline was lower than that in rats with delayed resuscitation with Ringers’ solution. Our data imply that hydrogen-rich saline significantly improves the inflammatory reaction in rats with severe burns with delayed resuscitation, possibly by inhibiting activation of NF-κB.
Burns. 2014 Oct 25. pii: S0305-4179(14)00240-X.
水素生理食塩水を用いてゆっくりと輸液を行うと
重度のやけどによる炎症を抑える
成都軍区総合病院 熱傷・形成外科
<要旨>
重度のやけどに対してゆっくりと輸液を行うと、症状が非常に悪化することが知られており、その原因は虚血再灌流によるものと考えられています。
そこで選択的抗酸化物質として知られる水素生理食塩水をゆっくりと輸液した場合に、重度のやけどが引き起こす炎症反応を改善させるかどうかを調べました。
ゆっくりと輸液を行う重症やけど動物モデル(ラット)を用いて、水素生理食塩水で処置したラットの致死率やサイトカイン分泌、酸化ストレス反応といった項目の改善度合を記録しました。その結果、水素生理食塩水を用いて輸液を行うと有意に炎症が抑えられることが分かりました。
さらに、私たちは炎症に関与するNF-kBの変化についても調べました。重度のやけどを負ったラットを水素生理食塩水でゆっくりと輸液すると、リンゲル液でゆっくりと輸液した場合よりもNF-kBとリン酸化NF-kBの発現が低くなっていました。
以上
のことから、重度のやけどを負ったラットに水素生理食塩水をゆっくりと輸液を行うと、NF-kB活性化の抑制を通じて、炎症反応を有意に改善させることがわかりました。
<一言>
のっけからやけどの専門用語(?)で始まるよくわからない論文だったので、訳が大幅に違っていたらすみません。どうやら重度のやけどの治療には、速度を上げて血管内に輸液を送り込む急速輸液をするというのがセオリーらしいです。で、なんでちんたら点滴をしてはいけないのかというと、虚血再灌流で活性酸素が沢山出て、組織に炎症や障害をおこすからということらしいです(解釈が違っていたらすみません)。
そこで、虚血再灌流に効果あるとされる水素を応用してみてはどうかと考えたんでしょうね(憶測)。水素輸液をゆっくり点滴した場合にやけどの症状はどうなるかを調べたのがこの論文です。水素を含んでいれば、ゆっくり点滴でも症状が悪化しなさそうというのが結論です。体質によって急速輸液ができない人もいるので、そういった人には水素入りの点滴がいいかもしれませんね。