Hydrogen Inhalation During Normoxic Resuscitation Improves Neurological Outcome in a Rat Model of Cardiac Arrest, Independent of Targeted Temperature Management. | 通常酸素分圧下での蘇生中に水素を吸入すると、 心停止モデルラットの神経学的予後を改善する; 水素は低体温管理とは異なる独立した改善因子である

Circulation. 2014 Nov 3. pii: CIRCULATIONAHA.114.011848.

Hydrogen Inhalation During Normoxic Resuscitation Improves Neurological Outcome in a Rat Model of Cardiac Arrest, Independent of Targeted Temperature Management.

School of Medicine, Keio University

Abstract

BACKGROUND:

-We have previously shown that hydrogen (H2) inhalation, commenced at the start of hyperoxic cardiopulmonary resuscitation (CPR), significantly improves brain and cardiac function in a rat model of cardiac arrest (CA). Here, we examine the effectiveness of this therapeutic approach when H2 inhalation is commenced upon the return of spontaneous circulation (ROSC) under normoxic conditions, either alone, or in combination with targeted temperature management (TTM).

METHODS AND RESULTS:

-Rats were subjected to 6 min VF CA followed by CPR. Five min after achieving ROSC, post-CA rats were randomized into four groups: mechanically ventilated (MV) with 26% O2 and normothermia (control); MV with 26% O2, 1.3% H2 and normothermia (H2); MV with 26% O2 and TTM (TTM); MV with 26% O2, 1.3% H2 and TTM (TTM + H2). Animal survival rate at 7 d after ROSC was 38.4% in the control group, 71.4% in the H2 and TTM groups, and 85.7% in the TTM+H2 group. Combined therapy of TTM and H2 inhalation was superior to TTM alone in terms of neurological deficit scores at 24, 48, and 72 h post-ROSC, and motor activity at 7 d post-ROSC. Neuronal degeneration and microglial activation in a vulnerable brain region was suppressed by both TTM alone and H2 inhalation alone, with the combined therapy of TTM and H2 inhalation being most effective.

CONCLUSIONS:

-H2 inhalation was beneficial when commenced after ROSC, even when delivered in the absence of hyperoxia. Combined TTM and H2 inhalation was more effective than TTM alone.


Circulation. 2014 Nov 3. pii: CIRCULATIONAHA.114.011848.

通常酸素分圧下での蘇生中に水素を吸入すると、
心停止モデルラットの神経学的予後を改善する;
水素は低体温管理とは異なる独立した改善因子である

慶応大学医学部

<要旨>

背景

私たちは以前、高酸素下での心肺蘇生(CPR)の開始時に水素を吸入すると、心停止モデルラットの脳と心臓の機能が有意に改善することを報告しました。そこで今回は、通常酸素分圧下での心拍再開(ROSC)時に水素吸入を行った場合、もしくは低体温管理(TTM)と水素吸入を組み合わせた場合のそれらの治療効果について調べました。

方法および結果

ラットは6分間の心室細動による心停止の後に、心肺蘇生を行いました。

心拍再開から5分後、心停止後ラットを4群に分けました。(1)対照群:通常酸素分圧(酸素26%)での人工呼吸、(2)H2群:通常酸素分圧(酸素26%)+水素1.3%での人工呼吸、(3)TTM群:通常酸素分圧(酸素26%)での人工呼吸+低体温管理、(4)TTM+H2群:通常酸素分圧(酸素26%)+水素1.3%での人工呼吸と低体温管理の組み合わせ。

心拍再開後7日目の生存率は、対照群で38.4%、H2群とTTM群では71.4%、TTM+H2群では85.7%でした。低体温管理と水素吸入を組み合わせた場合、低体温管理を単独で行うよりも、心拍再開から24時間、48時間、72時間後の神経脱落スコアが優れていることが分かりました。また同様に心拍再開から7日目の運動活動においても低体温管理と水素吸入を組み合わせたほうが優れていました。

そして障害を受けた脳の領域での神経変性とミクログリア活性化についても調べましたが、低体温管理単体または水素吸入単体でも抑制効果がみられたものの、低体温管理と水素吸入を組み合わせた場合に効果が最も強いことがわかりました。

結論

高酸素条件でなくても、水素吸入を心拍再開後に行うとよい効果が得られました。低体温管理と水素吸入を組み合わせると、低体温管理単独よりさらに効果的でした。


<一言>

蘇生の際に水素を吸入させたらどうなる?という研究です。以前は高酸素の条件で行った研究だったので、もちろん活性酸素の害が出やすく、水素の効果もはっきり表れていたということですが、今回は普通の酸素状態ではどうかということで調べています。結論は普通の酸素状態でも効果はあり、とのこと。

また別の観点からの研究も行っています。低体温管理療法と水素を組み合わせるとどうなるかという研究です。蘇生時に脳を低体温にすると、脳の酸素消費が抑えられたり、虚血再灌流の障害が起こりにくくなったりすることが知られています。よく、極寒の土地で事故にあったけど、低体温による仮死状態のお陰で、本当なら助かっていないタイミングなのに奇跡の生還を果たしたという時折見かけるニュースと同じメカニズムです。こちらも組み合わせたほうがよさそうということらしいです。

慶応大学の救急では実際に水素ガスが使われているようですね。今後の研究の発展に期待です。