Effects of hydrogen-rich saline on aquaporin 1, 5 in septic rat lungs. | 敗血症ラット肺のアクアポリン1、5に対する 高濃度水素生理食塩水の効果
J Surg Res. 2016 May 15;202(2):291-8. doi: 10.1016/j.jss.2016.01.009. Epub 2016 Jan 14.
Effects of hydrogen-rich saline on aquaporin 1, 5 in septic rat lungs.
Department of Anesthesiology, Shengjing Hospital, China Medical University
Abstract
Aquaporin 1(AQP1) and AQP5 have an important role in eliminating extravascular lung water, an increase of which contributes to lung injury in patients with sepsis and its consequent mortality. It has been reported that hydrogen-rich saline (HRS) has protective effects against sepsis-related lung injury. In this study, we hypothesized that the protective effect occurred by preserving the expression of AQP1 and AQP5. To test this hypothesis, male Sprague-Dawley rats received intratracheal administration of lipopolysaccharide (LPS) followed by intraperitoneal injection of HRS. Lung function, wet-to-dry weight ratio, and histopathology scores were determined. The expression of AQP1 and AQP5 at the messenger RNA and protein levels, as well as the involved pathways, was explored by quantitative polymerase chain reaction and Western blot. LPS significantly impaired lung function and downregulated the expression of AQP1 and AQP5 in the rat lung, all of which were attenuated by HRS treatment. Moreover, HRS treatment inhibited LPS-induced activation of p38 mitogen-activated protein kinase and jun N-terminal kinase, which is associated with LPS-induced downregulation of AQP1 and AQP5.
J Surg Res. 2016 May 15;202(2):291-8. doi: 10.1016/j.jss.2016.01.009. Epub 2016 Jan 14.
敗血症ラット肺のアクアポリン1、5に対する
高濃度水素生理食塩水の効果
中国医科大学 盛京医院 麻酔科
<要旨>
アクアポリン1(AQP1)とAQP5は血管外肺水分の除去に非常に重要な働きをし、血管外肺水分が増加すると、敗血症患者の肺障害やその予後悪化につながります。一方高濃度水素生理食塩水(HRS)は、敗血症による肺障害に対して保護効果を有することが報告されています。
このことから本研究では、水素の保護効果の発揮にAQP1とAQP5の発現維持が関与しているのではないかとの仮説を立てました。その仮説を検証するため、雄SDラットの気管内にLPSを投与し、その後HRSを腹腔内投与しました。
そして、肺機能、乾湿重量比、組織病理スコアを評価するとともにAQP1とAQP5のmRNAとタンパク質の発現は、それぞれqPCRとウエスタンブロットで調べました。
その結果、LPSにより有意に肺機能の障害が起こるとともに、ラット肺のAQP1とAQP5の発現がダウンレギュレートしましたが、それらの現象はHRS投与により抑えられました。
さらにHRSの投与でLPS誘発性p38MAPKやJNKの活性化を阻害しました。それらはLPSによるAQP1とAQP5のダウンレギュレーションに関与しています。
<一言>
アクアポリンという言葉を初めて聞いたのですが、調べてみたところ、細胞膜の水の通り道のことをいうみたいですね。細胞膜は基本的に油で出来ているので、水を通しません。細胞膜にある水専用の特別輸送路のことをアクアポリンというようです。そうじゃなきゃ、いろいろな物質を細胞が得たり、排出したりできませんもんね。
また、血管外肺水分量に関してですが、正常な状態でもあるものの、増えると肺が重くなって肺に負荷がかかってしまうもののようです(解釈が違っていたらすみません)。
今回の実験ではアクアポリンの機能を維持することによって、血管外肺水分量を増やさない働きが水素にあることが認められたようです。ちなみにストレス応答や炎症を引き起こす経路を水素が抑えることでアクアポリンの働きが維持できるみたいですね。ほほ~という感じです。