Hydrogen-rich water attenuates amyloid β-induced cytotoxicity through upregulation of Sirt1-FoxO3a by stimulation of AMP-activated protein kinase in SK-N-MC cells. | 高濃度水素水はアミロイドβによる細胞毒性を抑制する ~AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激による Sirt1-FoxO3a活性化を介した反応~ (SK-N-MC細胞を用いた試験)
Chem Biol Interact. 2015 Aug 10;240:12-21. doi: 10.1016/j.cbi.2015.07.013. [Epub ahead of print]
Hydrogen-rich water attenuates amyloid β-induced cytotoxicity through upregulation of Sirt1-FoxO3a by stimulation of AMP-activated protein kinase in SK-N-MC cells.
Institute of Medicine, Chung Shan Medical University
Abstract
Amyloid β (Aβ) peptides are identified in cause of neurodegenerative diseases such as Alzheimer’s disease (AD). Previous evidence suggests Aβ-induced neurotoxicity is linked to the stimulation of reactive oxygen species (ROS) production. The accumulation of Aβ-induced ROS leads to increased mitochondrial dysfunction and triggers apoptotic cell death. This suggests antioxidant therapies may be beneficial for preventing ROS-related diseases such as AD. Recently, hydrogen-rich water (HRW) has been proven effective in treating oxidative stress-induced disorders because of its ROS-scavenging abilities. However, the precise molecular mechanisms whereby HRW prevents neuronal death are still unclear. In the present study, we evaluated the putative pathways by which HRW protects against Aβ-induced cytotoxicity. Our results indicated that HRW directly counteracts oxidative damage by neutralizing excessive ROS, leading to the alleviation of Aβ-induced cell death. In addition, HRW also stimulated AMP-activated protein kinase (AMPK) in a sirtuin 1 (Sirt1)-dependent pathway, which upregulates forkhead box protein O3a (FoxO3a) downstream antioxidant response and diminishes Aβ-induced mitochondrial potential loss and oxidative stress. Taken together, our findings suggest that HRW may have potential therapeutic value to inhibit Aβ-induced neurotoxicity.
Chem Biol Interact. 2015 Aug 10;240:12-21. doi: 10.1016/j.cbi.2015.07.013. [Epub ahead of print]
高濃度水素水はアミロイドβによる細胞毒性を抑制する
~AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激による
Sirt1-FoxO3a活性化を介した反応~
(SK-N-MC細胞を用いた試験)
中山医学大学 医学部
<要旨>
アミロイドβ(Aβ)ペプチドは、アルツハイマー病のような神経変性疾患等でみられる物質です。今までの研究成果からAβによる神経細胞は、活性酸素種の産生亢進が関与していることが示唆されています。
Aβによる活性酸素種の蓄積はミトコンドリアの機能障害を増加させ、アポトーシスによる細胞死の引き金になっています。このことから、アルツハイマー病のような活性酸素が関連する病気を防ぐのに、抗酸化療法は効果的なのではないかと考えられます。
そして近年、高濃度水素水はそれが持つ活性酸素消去能から、酸化ストレスによる障害に対する効果があることが証明されてきています。しかしながら水素水が神経細胞死を防ぐ正確な分子メカニズムはいまだに明らかにされていません。そこで本研究では、Aβによる細胞毒性に対する高濃度水素水の保護作用に関して、その推定メカニズムを調べることにしました。
その結果、高濃度水素水は過剰に発生した活性酸素種を消去し、さらにAβによる細胞死を抑制することで、酸化障害に対して直接拮抗することが私たちの研究で明らかになりました。
さらに高濃度水素水はSirt1依存的にAMPKを刺激することで、FoXO3aの下流の抗酸化反応をアップレギュレートし、Aβによるミトコンドリア能低下と酸化ストレスを抑えました。
以上のことから、高濃度水素水はAβによる神経毒性を抑えることで臨床応用が期待できると考えられます。
<一言>
読み飛ばしがあったかもしれませんが、私の記憶する限り、水素がSirt1に関与するという初めての論文なような気がします。2015年からさかのぼること数年前、長生き遺伝子サーチュインというのが大々的に取り上げられましたよね?論文に出てくるSirt1は、まさに哺乳類が持つサーチュインの仲間の一つであり、水素はそれに作用するみたいですね。
この論文の要旨を読む限り、水素がSirt1を介してAMPKというエネルギーを作るスイッチみたいなものを刺激して、エネルギーを作らせるとともに、抗酸化能を発揮させるようです。
一方のアルツハイマーの原因物質と目されるアミロイドβは、エネルギーを生み出す効率を悪くし、活性酸素を発生させるため神経毒性があります。その真逆の作用がある水素がアルツハイマーにいいかも…というお話です。
水素がSirt1に対して何かしらの作用を持つのであれば、アルツハイマーだけじゃなくて、ほかにもいいことがあるんじゃないかということを匂わせますね。今後の研究の進展に期待です。